STUDIES

Labo

約1ヶ月間集中して学ぶ少人数制・対面型のコース

ラディカルな美術史:エコロジーとケアの新たな物語 —ターナーからジョーン・ジョナスまで

期間:
シリーズ1 5月16日(木)、5月23日(木)、5月30日(木)、6月6日(木)
シリーズ2 6月13日(木)、6月20日(木)、6月27日(木)、7月4日(木)
シリーズ3 7月11日(木)、7月18日(木)、7月25日(木)、8月1日(木)

時間:19:00-21:00( 120分 / レクチャー75分+ティー&コーヒー・ディスカッション45分)
場所:代官山AITルーム
回数:各シリーズ 4回(全12回)※1シリーズごとに参加可能 
定員:各シリーズ 16名 ※最少催行人数あり
料金:各シリーズ 39,600円(税込)※オンデマンド・アート講座「TASプレミア」付( 24レクチャー / 視聴期限なし / 13,200円相当)、参考文献リスト付
申込締切:シリーズ開始の一週間前

ゲスト(敬称略):小野正嗣(小説家、早稲田大学文化構想学部教授)、伊東多佳子(富山大学 芸術文化学部 准教授)、円香 / Madoka(現代魔女、VR/XRアーティスト)
インストラクター:ロジャー・マクドナルド(TOTAL ARTS STUDIES プログラム・ディレクター / フェンバーガーハウス館長 / 多津衛民藝館館長)、堀内奈穂子(AITキュレーター / ディア ミーディレクター)、塩見有子(AITディレクター)

* 各シリーズの最終日には交流会を開催予定です
* ご欠席される場合は、後日オンラインにて録画したセッションをご視聴いただけます(期間限定 / ダウンロード不可 / 転載不可)
* 料金には、セッション代のほか、オンデマンド・アート講座「TASプレミア」( 24レクチャー / 視聴期限なし / 13,200円相当)、ドリンク・お菓子代が含まれています
全シリーズ(1〜3)申込みの方にはセット割引もご用意しています

特徴

  • ユニークな視点から美術史を学び、「ディープ・ルッキング(深い観察)*」も体験できます( *ロジャー・マクドナルドによる著書。アートへの深い観察が人間の意識をどのように拡張してきたか、未来を切り拓くヒントを探る。)
  • テーマに沿った音楽を聴いたり、ティータイムを設けディスカッションを行います
  • キーワードや専門用語は、わかりやすく解説し、初めてアートを学ぶ方でも安心です
  • ゲストや同じ興味を持つ方との交流を楽しめます
  • 忙しい方でも最短約1ヶ月から参加可能

特典

こんな方におすすめ!

  • 美術史を多様な視点から学んでみたい方
  • 気候危機やメンタルヘルスに関心があり、アートの視点から学びたい方
  • アートとサスティナビリティー、環境問題を歴史や理論から考えてみたい方
  • アートセクターの新たな役割について考えたい方
  • 知られざる名画や芸術家について知りたい方
  • 凝り固まった思考をほぐしたい方、知的好奇心を高めたい方
  • 恵比寿映像祭2024」に出品したロジャー・マクドナルドの展示に関心を持った方

みなさんと想像したいこと・考えたいこと

  • 芸術作品は、叡智を超えて私たちの想像力を掻き立てることはできるか 
  • 地球や気候のシステムが今大きく変化している時代において、芸術はどう自由であるべきか
  • 美術館やアートスペースは、気候危機や不正義に抵抗する、変革を牽引する場となりうるか
  • 今、芸術を眺めることで、自身の生活や社会とどのような新たな関係性を見出せるのか

TASラボは、少人数のグループでドリンクを楽しみ、また、時に作品に関連する音楽を聴きながらリラックスした雰囲気でアートについて学びます。

2024年の主なキーワードは、「エコロジー」「ラディカルケア」「レジスタンス」。気候危機と芸術の関係性、ケアや喜びの場としての美術館など、オルタナティヴな美術史や解釈を通して、私たちが生きる複雑な時代について考えます。

これらのキーワードは、多くの人にとって一見、聞き慣れない・難しい印象を受けるかもしれません。ですが、TASラボでは、これらについて一方向的な時間軸や歴史観で考えるのではなく、近くや遠く、縦、横、斜めなど、全方向に想像力を飛ばすことで、日常や身の回りにある社会課題を多層的に捉えます。特に近年は、気候変動と生物多様性の崩壊など、地球規模の非常事態に直面しています。私たちはその緊急性をどのように自身の日常と結びつけながら想像することができるのでしょうか。

このコースでは、私たちが良く知る名画や芸術家、これまでの美術史の中では取り上げられる機会が少なかった重要な作品も交えながら、芸術が私たちに与えてくれる想像力を手がかりに、数百年にわたる芸術の思考の森を散策します。思い切って飛び込んでみることで、新たな知識の地平が広がるかもしれません。


シリーズ1「変革としての芸術:絵画、音楽、文学からみる抵抗」

Arthur Dove, Sunrise III, 1936

植民地時代や産業化、近代社会がもたらした「権力」や「破壊」に対して、芸術家たちはどのように反応し、それぞれの時代を生き抜いてきたのでしょうか。本シリーズでは、18世紀以降のヨーロッパにおける芸術と工業化、帝国主義の関係性をはじめ、19世紀後半にヨーロッパ、インド、日本など多くの地域で盛んになった農民や農村による抵抗運動などを取り上げ、権力に抗うオルタナティヴなライフスタイル運動の歴史を紐解きます。今日の気候危機の問題が生まれた歴史を辿るとともに、当時の芸術家たちの表現や運動、思想による抵抗をはじめ、文学の役割と批評性を通してこれからを生きる手がかりを探します。

日付タイトルゲスト・インストラクター
5月16日(木)1. 帝国主義と支配に抗う表現者ロジャー・マクドナルド
5月23日(木)2. 産業化と近代生活、孤独ロジャー・マクドナルド
5月30日(木)3. 大地、労働、自由ロジャー・マクドナルド
6月6日(木)4. 気候緊急事態時代の新しい物語: 文学は私たちをどう導くか?小野正嗣(小説家、早稲田大学文化構想学部教授)、ロジャー・マクドナルド

シリーズ2「コミュニティ、ケア、コモンズを通して希望を取り戻す」

Paul Klee, Joyful Mountain Landscape, 1929

本シリーズでは、美術館を、より民主主義に根ざした、エコロジカルな実践の場として活用することについて考えます。
危機の時代に美術館という場所は、いかにしてケアと集団の喜びの空間へと変貌しうるのでしょうか。また、芸術家たちは人間のスケールを超えた地球の変化をどのように表現や活動に反映してきたのでしょうか。また、気候危機を美学の観点から考察しながら、予測不可能な状況において、芸術と美学が現代において果たす役割について、ゲストを迎えて深掘りします。

日付タイトルゲスト・インストラクター
6月13日(木)1. システムの端に生きる: アートとコミューン運動ロジャー・マクドナルド
6月20日(木)2. アートとラディカル・ケア堀内奈穂子
6月27日(木)3. 非常時の博物館:新たな民主的衝動ロジャー・マクドナルド
7月4日(木)4. 気候崩壊時代の芸術における新たな展開と未来への期待伊東多佳子(富山大学 芸術文化学部 准教授)※オンライン参加、ロジャー・マクドナルド

シリーズ3「宇宙船地球号での生活と、今、アクションを起こすとき」

Paul Klee, In Angels Care, 1931

芸術は、長い人類の歴史の中で、常に私たちの社会や精神的な領域と深く結びつき、新しい理解や考え方を示してきました。困難な時代の中で、私たちはどのようにより効果的な気候変動対策を講じ、その先の世界を想像できるのでしょうか。ここでは、芸術が持つあらゆる効能について考察します。
このシリーズでは、近年活発になる美術館や美術館以外の場所におけるラディカル・ケアやニューロ・ダイバーシティ(神経多様性)のための取り組みに触れながら、人々の「心」について考察する実践を紹介します。また、現代の魔術とアース・アクティヴィズムなどのエコロジー運動との強いつながりと、世界のアート界が取り組む実践的な脱炭素化の活動を紹介しながら、気候危機のアクションを具体化していく流れについても考えます。

日付タイトルゲスト・インストラクター
7月11日(木)1. ニューロ・ダイバース・ミュージアム堀内奈穂子
7月18日(木)2. 人間のスケールを超えるアートの実践
ーラディカルなスピリチュアリティとアイデンティティ
ロジャー・マクドナルド
7月25日(木)3. ニュー・アース・スピリチュアリティ:
魔術とアース・アクティヴィズム
円香 / Madoka(現代魔女、VR/XRアーティスト)、ロジャー・マクドナルド
8月1日(木)4. アート界の脱炭素化塩見有子

オンデマンド・アート講座 TASプレミア( 24レクチャー)一覧

TASラボにお申し込み頂くと、オンデマンド・アート講座TASプレミアの「崩壊の時代の芸術体験」コースと「芸術から眺めるこども、こころ、せかい」コースから以下の24レクチャーが視聴できます(期限なし)。お申込み後、視聴のご案内をメールにてご連絡いたします。

崩壊の時代の芸術体験」コース(インストラクター:ロジャー・マクドナルド)

  1. 自由の意識の崩壊:資本主義リアリズム
  2. ダンスを解体する、すべてのために踊る:アンナ・ハルプリン
  3. アートの「ビジョナリー」モード:エマ・クンツのマンダラ
  4. 芸術と体験:ジョン・デューイ
  5. ディープ・ルッキング
  6. 「身をまかす」ための空間:市民回復センター
  7. アートと有用性:ジョン・ラスキンから今、学べること
  8. 「エコロジーになる」:サン・ラとウィリアム・バロウズ
  9. 21世紀の政治とカウンターカルチャーの精神修行
  10. エクスタシーをひらくアート
  11. 集団的喜びの芸術空間
  12. トータルアートスペース

芸術から眺めるこども、こころ、せかい」コース(インストラクター:堀内奈穂子)

  1. アート処方と多様な人々とのアートの体験 
  2. 精神医療とアートを考える 
  3. 幼児教育の歴史と芸術:ヨハン・ハインリッヒ・ペスタロッチと「直観教授法」 
  4. 幼児教育の歴史と芸術:マリア・モンテッソーリと宇宙教育
  5. 絵画から眺める「子ども期」の発見 
  6. ドイツ表現主義の芸術家と「子どもらしさ」の観察 
  7. 「子どもの視点」から世界を眺める:ワシリー・カンディンスキーとガブリエレ・ミュンター 
  8. パウル・クレーと「不穏な子どもたち」 
  9. 結晶から宇宙まで-フリードリヒ・フレーベルの「遊び」の創造性 
  10. フレーベルの「遊び」と、芸術・建築的思考  
  11. 体験から新たな民主主義へージョン・デューイの「実験学校」
  12. 生き方を交差させる場としての美術館


過去のアートコース

TAS Courses

特定のテーマを設けて、複数回にわたって、少人数でじっくり学び体験するコースを2023年に開催しました。

Making Art Different =アートを変えよう、違った角度で見てみよう

NPO法人AITが2001年から2019年までに開講した現代アートの教育プログラムです。
これまで2,400 人以上が受講し、今も多くの修了生がアート界で活躍しています。
MADでは、現代アートの見方から、アート業界の仕組み、そして未来のアートについてまで、アートを取り巻く様々な要素を紐解きながら、アートについての包括的な理解を深めるプログラムを提供しました。