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脳と心を遊泳する芸術体験

展覧会鑑賞風景 (アーティゾン美術館、2023年) Photo: 阪本勇 Courtesy of atelier A and Arts Initiative Tokyo

TOTAL ARTS STUDIES2023 秋冬プログラム
堀内奈穂子によるアート講座
全3回

ゲスト:ヨレイン・ポスティムス(ミュージアム・オブ・マインド[心の美術館] キュレーター、オランダ)*セッション2
オンデマンド・アート講座 TASプレミア「芸術から眺めるこども、こころ、せかい」コース(全24レクチャー、視聴期限なし)付き

「メンタルヘルス」や「ニューロダイバーシティ(Neurodiversity 神経多様性)」をキーワードに、アートとメンタルヘルスをつなぐ実践について、全3回のセッションを通して考えます。

近年、アートを通じた多様な体験が私たちの精神や身体に及ぼす作用について、さまざまな研究が行われていますが、芸術と心の関係は決して今にはじまったものではありません。古代には彫刻や壁画を用いて、人々の健康を観察したり治療の儀式を行っています。本コースでは、そうした芸術と心の歴史にも触れながら、昨今活発になっている、多様な人々との作品鑑賞や芸術体験について、その最新の動向や課題についても考えます。

特に、セッション2では、2005年開館以降、人間の心の多様さにフォーカスし、変化する心を発見する革新的でユニークなプログラムが世界的に注目を集めているオランダの「ミュージアム・オブ・マインド(心の美術館)」(2022年ヨーロッパ年間最優秀博物館賞受賞)から初来日するキュレーターのヨレイン・ポスティムス氏を迎えます。「ミュージアム・オブ・マインド」は、ハンセン病患者の隔離施設や精神科病院として使用されてきた歴史を持つ建造物を活用し、かつての治療に用いられた器具や資料など、精神疾患にまつわるスティグマの歴史とともに、現代アートの作品を展示し、鑑賞者に「心」について問いかける工夫を行っているユニークな美術館です。また、アウトサイダー・アートに特化したミュージアムも運営しています。
当日は、ポスティムス氏によるレクチャーのほか、参加者との交流を通して、アートと精神医療、ケアを通じていろいろな心のあり方について考えます。

本コースは、最新のアートとメンタルヘルスの動向を知りたい方、芸術と福祉・ケア、医療の分野の協働について考えてみたい方、また、芸術体験で得た気づきを自分の生活や仕事に取り入れたい方におすすめです。

定員に達し次第、受付終了とさせていただきます。お申し込みはお早めに!

1. 脳と心を遊泳する芸術体験 120分

12月12日(火)19:00-21:00
アートを見ることや体験することは、なぜ私たちの脳や心に作用するのでしょうか。
近年、芸術体験が私たちのストレスや心の不安、トラウマなどを緩和するツールとして注目されていますが、歴史を遡ると、絵画や彫刻をつかって身体や心の治療を行ってきたという記録があります。このセッションでは、アートとメンタルヘルスの歴史や、多様な参加者との取り組みについて、特に国内外の美術館やアートスペースの実践を紹介します。

セッションで取り上げるキーワード

  • メンタルヘルスとニューロダイバーシティ(Neurodiversity 神経多様性)
  • 多様な人々との芸術体験
  • 美術館の教育プログラムの取り組み
  • アートと精神医療、ケアの取り組みと課題

2.メンタルヘルスと美術館―オランダ「ミュージアム・オブ・マインド(心の美術館)」の実践から 120分

12月19日(火)19:00-21:00
ゲスト:ヨレイン・ポスティムス(ミュージアム・オブ・マインド
マインドフルネストレーナー兼メンタルヘルス・プログラム・マネージャー)
逐次通訳あり

誰にでもひらかれた実験的な美術館では、どのような視点でアートの学びのプログラムがつくられ、鑑賞者はどのようにそれらを享受しているのでしょうか。
オランダの「ミュージアム・オブ・マインド(心の美術館)」からメンタルヘルス・プログラムを担当するヨレイン・ポスティムス氏をゲストに迎え、同美術館の展覧会をはじめ、障害のある人々とのプロジェクトや、学校と協働して行う自殺予防プログラムなど、ヘルスケアとアートの取り組みについてお話しを伺います。「ミュージアム・オブ・マインド」の実践から、アートがもたらす新しい価値と可能性、そして課題について学び、また、3回目に行う鑑賞プログラムに向けたヒントや問いかけもここで探ります。

セッションで取り上げるキーワード

  • 美術館におけるアートとメンタルヘルスのオランダの事例
  • 美術館とケア、教育分野の協働
  • 子ども・ユースの自殺防止プログラム
  • 障害のある人々の職場としての美術館

3. 美術鑑賞プログラム―あいまいで変わりゆく「心」 150分

2024年1月20日(土)13:00-15:30 アーティゾン美術館(予定)
最後のセッションでは、アーティゾン美術館(予定)を訪れ、展覧会を鑑賞します。これまで過去2回のセッションで発見した問いかけをヒントにしながら、作品と向き合い、じっくり観察することを意識します。作品のどのような色、形、質感が気に留まったか、どのような物語や音が思い浮かんだか、自分や他のメンバーがどのような視点や思考で物事を眺めているか、最後にメンバー全員でディスカッションを行い、その気づきから、日々の生活や仕事に応用できるような自身の心の変化を探求します。

セッションで取り上げるキーワード

  • 作品鑑賞から考えるメンタルヘルス
  • 作品からの情報の抽出、気づきの発見
  • 美術鑑賞における多様な視点
  • 生活や仕事に応用できる学びや発見

概 要

コースタイトル:脳と心を遊泳する芸術体験
インストラクター:堀内奈穂子(AITキュレーター / dear Meディレクター)
ゲスト:ヨレイン・ポスティムス(ミュージアム・オブ・マインド[心の美術館] キュレーター、オランダ)*セッション2


開催日時と場所:
レクチャー 2023年12月12日(火)、12月19日(火)19:00-21:00 代官山AITルーム
鑑賞ワークショップ 2024年1月20日(土)13:00-15:30 アーティゾン美術館(予定)
回数:全3回
定員:15 名
料金:¥30,800 (税込)
* 料金には、レクチャー代金のほか、オンデマンド・アート講座「芸術から眺めるこども、こころ、せかい」コース(全24レクチャー / 視聴期限なし / ¥13,200相当)、美術館入館料、1ドリンク(各セッション)が含まれています。
*ご欠席される場合は、後日オンラインにて録画したセッションをご視聴いただけます。
* 逐次通訳あり(セッション2のみ)

インストラクター

堀内奈穂子
エジンバラ・カレッジ・オブ・アート現代美術論修士課程修了。2008年より、AITにてレジデンス・プログラムや展覧会、シンポジウム、企業プログラムの企画に携わる。ドクメンタ12マガジンズ・プロジェクト「メトロノーム11号 何をなすべきか?東京」(2007)アシスタント・キュレーター、「Home Again」(原美術館、2012)アソシエイト・キュレーターを務める。国際交流基金主催による「Shuffling Space」展(タイ、2015) キュレーター、「Invisible Energy」(ST PAUL St Gallery、ニュージーランド、2015)共同キュレーター。アーカスプロジェクト (2013) 、パラダイスエア(2015、2016)、京都府アーティスト・イン・レジデンス事業「大京都in舞鶴」(2017)のゲストキュレーターを務める。 2016年より、AITの新たなプロジェクトとして、複雑な環境下にある子どもたちとアーティストをつなぐ「dear Me」プロジェクトを開始。アートや福祉の考えを通した講座やワークショップ、シンポジウムを企画する。

ゲスト

ヨレイン・ポスティムス
ミュージアム・オブ・マインド(心の美術館) マインドフルネストレーナー兼メンタルヘルス・プログラム・マネージャー
2022年にヨーロッパ年間最優秀博物館賞受賞(The European Museum of the Year Award, EMYA) を受賞した「ミュージアム・オブ・マインド」のマインドフルネストレーナー兼メンタルヘルス・プログラム・マネージャーを務める。アートとヘルスケアの分野で15年の経験を持つ彼女は、同美術館にて文化、マインドフルネス、ウェルビーイングの関係を探求するプログラムを企画している。また、そのほか、オランダの文化セクターにマインドフルネスの実践を導入し、ヨーロッパ各地の美術館やギャラリーと協力し、マインドフルネスの学習やエンゲージメント・プログラムに関連した講演などを行う。トラウマやニューロダイバーシティに関わる実践を専門とし、ミュージアム・オブ・マインド のほか、ゴッホ美術館などでトレーニングや瞑想プログラムを開発している。

★本コース特典★
オンデマンド・アート講座「芸術から眺めるこども、こころ、せかい」コース(全24レクチャー / ¥13,200相当)はこんな内容!

これからの世界を生きる上で、芸術から得る気づきはどのように私たちの精神に作用し、よりよく生きるための「知恵」や「ヒント」を与えてくれるのでしょうか。このコースでは、美術史の中の子どもの存在や実験的な教育と芸術の関係、また芸術体験とメンタルヘルスについて掘り下げながら、さまざまなこころとせかいを想像します。

Series 1. 多様な人々とのまなびとこころ
Series 2. 芸術から眺める子どもの発見
Series 3. 遊びと創造ー児童教育に見るアートのちから
Series 4. 生き方を育み合う美術館とアートの学び
(ゲスト:佐藤麻衣子[アートエデュケーター] )