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シリーズ3「宇宙船地球号での生活と、今、アクションを起こすとき」

芸術は、長い人類の歴史の中で、常に私たちの社会や精神的な領域と深く結びつき、新しい理解や考え方を示してきました。困難な時代の中で、私たちはどのようにより効果的な気候変動対策を講じ、その先の世界を想像できるのでしょうか。ここでは、芸術が持つあらゆる効能について考察します。
このシリーズでは、近年活発になる美術館や美術館以外の場所におけるラディカル・ケアやニューロ・ダイバーシティ(神経多様性)のための取り組みに触れながら、人々の「心」について考察する実践を紹介します。また、現代の魔術とアース・アクティヴィズムなどのエコロジー運動との強いつながりと、世界のアート界が取り組む実践的な脱炭素化の活動を紹介しながら、気候危機のアクションを具体化していく流れについても考えます。

Total Arts Studies Labo 約1ヶ月間集中して学ぶ少人数制・対面型のコース
ラディカルな美術史:エコロジーとケアの新たな物語 — ターナーからジョーン・ジョナスまで
シリーズ3「宇宙船地球号での生活と、今、アクションを起こすとき」

期間:2024年7月11日(木)〜8月1日(木)
時間:19:00-21:00(120分)
場所:
 セッション1、2:オンライン(Zoom)
 セッション3、4:代官山AITルームとオンライン(Zoom)のハイブリッド開催

回数:全4回 
定員:16名 ※最少催行人数あり
料金:
1回 代官山AITルーム 4,400円(税込) オンライン 3,520円(税込)
全て 39,600円(税込) ※オンデマンド・アート講座「TASプレミア」付( 24レクチャー / 視聴期限なし / 13,200円相当)付

ゲスト(敬称略)
円香 / Madoka(現代魔女、VR/XRアーティスト)*セッション3

インストラクター
ロジャー・マクドナルド(TOTAL ARTS STUDIES プログラム・ディレクター / フェンバーガーハウス館長 / 多津衛民藝館館長)、堀内奈穂子(AITキュレーター / ディア ミーディレクター)、塩見有子(AITディレクター)

* 各シリーズの最終日には交流会を開催予定です。
* 参考文献リスト付。
* ご欠席される場合は、後日オンラインにて録画したセッションをご視聴いただけます(期間限定 / ダウンロード不可 / 転載不可)。
全シリーズ(1〜3)申込みの方にはセット割引もご用意しています。

1. ニューロ・ダイバース・ミュージアム

7月11日(木)堀内奈穂子

近年、芸術活動に触れることや作品を鑑賞することが私たちの心や脳に良い影響を与え、時に痛みや不安を緩和する可能性があることが研究されています。本セッションでは、マインドフルネスの実践やワークショップを通して、ニューロ・ダイバーシティ(神経多様性)やメンタルヘルスを考える近年の美術館の取り組みを紹介します。多様な人々との芸術体験が「安心の場」になるだけではなく、批評や視点、新たな知を生み出す場であることについても考えます。

画像クレジット:展覧会鑑賞風景 (アーティゾン美術館、2023年) Photo: 阪本勇

2. 人間のスケールを超えるアートの実践ーラディカルなスピリチュアリティとアイデンティティ

7月18日(木)ロジャー・マクドナルド

本セッションでは、人間の感覚や認識を超越し、より広範な領域の中に芸術を位置づける実践の歴史をたどります。松澤 宥や、エマ・クンツ、アニー・ベサントなどの芸術家や、中国宋代の絵画、インド美学やヨーガなど、シャーマニズムや世界における偉大な宗教的・神秘的伝統、そして最近の政治理論を取り上げながら、人間の認識やスケールを超越する精神的実践の長い伝統の中でアートの役割とはどのようなものでしょうか。これは、ジョン・ロックなどの政治哲学者が唱えた個人主義に対する暗黙の批判とも言えます。

3. ニュー・アース・スピリチュアリティ:魔術とアース・アクティヴィズム

7月25日(木)円香 / Madoka、ロジャー・マクドナルド

深刻な環境危機が叫ばれる現在、私たちは古くから伝わる魔術や呪術から何を学び、そうした知識をどのように現代における問題に役立てることができるのでしょうか。
魔術と気候危機の関係は、一見、想像しにくい領域のように見えますが、現代の魔術とエコロジー活動の間には、特にアメリカ西海岸において、驚くべき深いつながりがあります。このセッションでは、アメリカで実践を学んだ魔女である円香氏をゲストにお招きし、この不思議で魅力的な歴史を紹介するほか、現代魔女宗における主要な実践者の一人であるスターホークに言及し、ダンスや儀式、コミュニティ運動、急進的な政治とエコロジーとの関連性を取り上げます。

ゲスト
円香 / Madoka(現代魔女、VR/XRアーティスト)

留学先のLAでスターホークの共同設立したリクレイミングの魔女達に出会い、クラフトを本格的に学びはじめる。普段はXR体験を開発する傍ら、モダンウィッチクラフトの文化を日本に紹介している。未来魔女会議主宰。『文藝』、『エトセトラ』、『ムー』、『Vogue』、『WIRED』などに現代魔女に関するインタビューや記事を掲載。逆卷しとねと共にまどかしとね名義でサイボーグ魔女プロジェクト進行中。

4. アート界の脱炭素化

8月1日(木)塩見有子

近年、アート業界は気候危機に対する対策を加速させ、欧州を中心とするアーティストやギャラリスト、芸術支援団体の意識も大きく変わっています。飛行機ではなく陸路を選ぶ、再利用の推進や廃棄物の削減、環境負荷を考慮した場合にインセンティブを与えるなどが挙げられます。これは、2019年7月、テート・ギャラリー(イギリスの国立美術館組織)が気候非常事態宣言を発表したことが一つのきっかけとなっていますが、この地球規模の課題を無視してアート界で活動するのは、困難な時代に突入していると言えるでしょう。世界のアート・システムがどのように実践的かつ効果的に環境変革を実現し、より地球中心のビジョンを実現するリーダーとなりうるかを考察します。
*セッション終了後に交流会を開催します。(代官山AITルーム参加者のみ)

インストラクター

ロジャー・マクドナルド(TOTAL ARTS STUDIES プログラム・ディレクター / フェンバーガーハウス館長 / 多津衛民藝館館長)
東京生まれ。イギリスで教育を受ける。学士では、国際政治学。修士では、神秘宗教学を学ぶ。博士号では、『アウトサイダー・アート』(1972年)の執筆者ロジャー・カーディナルに師事し美術史を学ぶ。長野県佐久市に移住後、2013年に実験的なハウスミュージアム「フェンバーガーハウス」をオープン、館長を務める。AITでは、設立メンバーの一人として、現代アートの学校MAD(Making Art Different)やTAS(TOTAL ARTS STUDIES)のプログラムディレクションなどを担当。主な著書に、『DEEP LOOKING(ディープ・ルッキング)想像力を蘇らせる深い観察のガイド』(2022年、AIT Press)。美術手帖が運営するアートポータルサイトにて、気候危機とアートについての連載記事シリーズ「Art and Climate NOW」を掲載中。2024年より「平和と手仕事多津衛民藝館」(長野県佐久市)館長に就任。

堀内奈穂子(AITキュレーター / ディア ミーディレクター)
エジンバラ・カレッジ・オブ・アート現代美術論修士課程修了。2008年より、AITにてレジデンス・プログラムや展覧会、シンポジウム、企業プログラムの企画に携わる。ドクメンタ12マガジンズ・プロジェクト「メトロノーム11号 何をなすべきか?東京」(2007)アシスタント・キュレーター、「Home Again」(原美術館、2012)アソシエイト・キュレーターを務める。国際交流基金主催による「Shuffling Space」展(タイ、2015) キュレーター、「Invisible Energy」(ST PAUL St Gallery、ニュージーランド、2015)共同キュレーター。アーカスプロジェクト (2013) 、パラダイスエア(2015、2016)、京都府アーティスト・イン・レジデンス事業「大京都in舞鶴」(2017)のゲストキュレーターを務める。 2016年より、AITの新たなプロジェクトとして、複雑な環境下にある子どもたちとアーティストをつなぐ「dear Me」プロジェクトを開始。アートや福祉の考えを通した講座やワークショップ、シンポジウムを企画する。

Photo by Yukiko Koshima

塩見有子(AITディレクター)
学習院大学法学部政治学科卒業後、イギリスのサザビーズインスティテュートオブアーツにて現代美術ディプロマコースを修了。2002年、仲間と共にNPO法人アーツイニシアティヴトウキョウ[AIT/エイト]を立ち上げ、代表に就任。AITでは、レジデンス・プログラムや現代アートの教育プログラムMADを始動させたほか、メルセデス・ベンツ日本やドイツ銀行、日産自動車、三菱商事ほかの企業とのアート・プログラムについて、企画やコンサルティング、マネジメントを行う。そのほか、財団や行政、企業等の委員やアドバイザー、審査員などを務める。


< TASラボ「ラディカルな美術史:エコロジーとケアの新たな物語 — ターナーからジョーン・ジョナスまで」

< TASオープン「What is Art Today? — 深化するアートの世界」
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