Rika Fujii(AIT)
dear Meでは、2021年度で3回目となるアーティストの三原聡一郎さんによるオンライン・ワークショップを開催しました。
本ワークショップは、アートの思考や表現を通して子どもたちが身近な生活から科学を学び、発見することを目指しています。子どもたちはオンラインで参加しながらも、アーティストが製作した実験キットを使いながら、知覚体験を通して学ぶことができます。
3回目となる本ワークショップは、多様性を理解する社会貢献活動の一環として新生銀行グループによる寄付で開催されました。
リピーターも多い本ワークショップの様子をミニレポートでお届けします。
テーマは、「光のスペクトル」
アーティストの三原聡一郎さんは、世界中を旅しながら、科学者や研究者と一緒に、環境について意見交換をしたり、自然の中で見つけたものと、自分で発明した機械やテクノロジーとつなげて、だれも見たことがない新しい装置を作品として発表しています。本講座シリーズではこれまでに、自然素材を使った科学の実験や、五感から発見を楽しむワークショップを実施しています。
今回のテーマは、「光」。生命やエネルギーの源ともいえる、太陽。その光や紫外線、光を感じる感覚について、みんなで考えました。
ワークショップでは、三原さんがどのように「光」を使って作品をつくっているのか、また、光やスペクトル* の歴史をはじめ、人間だけでなく犬や蜜蜂など動物や虫と光・紫外線の関係など、光にまつわる色んなお話を聞きながら、手元に届いた実験キットを使って光の体験を楽しみました。
ワークショップでは、今回も、事前に三原さんやdear Meが選んで詰め込んだ特製の実験キットを参加者のもとに配布しました。
三角プリズムや、装置で、「光」を感じる仕組みについて知ろう
ワークショップの最初に、参加しているみんなの紹介タイムとして、自分の好きな色と、今日呼ばれたい名前を伝え合いました。緑や青、水色、赤、オレンジ、ピンク、紫、黄、白や黒、金色など、それぞれ自分の好きないろんな色が飛び出します。今回は、日本全国のさまざまな地域から、20組24名の、年少から高校生、大人の参加者が集まりました。
ゲストの三原聡一郎さんは、京都のスタジオから参加しました。AIT堀内の進行で、ワークショップの始まりのあいさつとアーティストの紹介、みんなの自己紹介のあとは、いよいよ、三原さんにバトンタッチ。
三原さんの自己紹介の最初に、みんなへの問いかけとして、「なんで見えるの?」という質問が書かれたスライドをみせました。
「なんで“見える”のか、わかるひといるかな?」
こども「ものが光に反射して、それが目にとどいているから」
みはら「そうだね。目があって、光があるから。もっと詳しく答えてくれたね。目がないとみえないし、光がないと、みえない。どちらかひとつではだめなんだね。では、そのことについてじっくり、話をしていきます」
そして、実験キットの要素をひとつひとつ確認しながら、「見える」仕組みのお話をしました。箱の中には、三角プリズム、三原さんが栽培している苔のサンプル2種、偏光フィルタ、LED回路、そして緑茶とお菓子のセット。
三原さんのこれまで訪れた場所の写真では、そこで見つけた砂や土を見せながら、複雑に移り変わる自然の中の色に魅了されたエピソードを紹介。三原さんは、好きな色を聞かれると、困ってしまうそう。なぜなら、自然の中には本当にたくさんの絶妙な色が溢れているから。
そして、三原さんの光のプリズムを使った作品を紹介したあと、ニュートンの書いた本や光の屈折のお話をして、実験キットの三角プリズムを使って、みんなで虹を探してみました。
こどもたち
「うすいけど、(虹が)うつった!」
「プリズムの中に、虹がみえます」
「きれいにみえました」
ワークショップ当日は日本各地であいにく曇り空が多く、なかなかはっきりとしたプリズムの虹は見えなかったひともいたようです。晴れた日にまたぜひ、さがしてみてくださいね。
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https://dearme.a-i-t.net/tas2021_soichiromihara_03/
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