blogBACK

ART IN THE OFFICE 2023選出アーティストはLiisa氏に決定!

マネックスグループ株式会社主催 アーティスト公募プログラム
「ART IN THE OFFICE 2023」選出アーティストのお知らせです。

Liisa《国際会館》2022年、水性インク、スクリーントーン
500 x 660 mm
※参考作品イメージ ※無断転載・複製禁止

・Update 社員向けワークショップレポート(2023年7月)

このたび、AITが運営協力を行っている「ART IN THE OFFICE 2023」(企画・主催:マネックスグループ株式会社 [以下、マネックス])の受賞者が選出されましたので、お知らせいたします。多数のご応募、誠にありがとうございました。

16回目となる「ART IN THE OFFICE 2023」では、134点の応募作品案の中から5名の審査員による選考を経て、Liisa(りさ)氏を選出しました。
Liisa氏のプランは、コミュニケーションが必須である会議室において、多様な文化や言語の中で過ごした自身のバックグラウンドを起点にした、言語に頼らない表現によって、多様な解釈と新たな物語の提示を試みようとしている点が高く評価されました。また、プレスルーム全体に作品が展開されるダイナミックさと、作品に入り込むような没入感を体験できるプランに審査員一同関心が寄せられました。

今後は、受賞した作品プランをもとに、社員との交流イベントや受賞者とアート審査員によるメンタリング、滞在制作・作品設置を行い、9月にレセプション(招待制)を実施予定です。

 

・概要および目的

ART IN THE OFFICE」は、マネックスグループが社会貢献活動並びに社員啓発活動の一環として企画・主催しているプログラムです。「マネックスを通じて、 現代アートの新進アーティストの作品を支援する場づくりをしたい」という想いから2008年にスタートし、NPO法人アーツイニシアティヴトウキョウ[AIT/エイト]が運営協力を行っています。受賞アーティストは一定期間、マネックスグループ本社オフィスに滞在し、社員との交流を通じて、作品の制作を行います。オフィス空間での作品制作体験は、アーティストの知性や感性を刺激し、また、社員にとっても、アーティストの試行錯誤する過程や思想に触れ、多様な表現を知ることができ、様々な価値観や考え方を認め合うことの大切さを理解することにつながります。本プログラムでは、このような創作プロセスから生まれるお互いのインスピレーションや、完成後の作品の体感という、社員とアーティストによる共創の体験を大切にしています。公募により選出された1名(1組)のアーティストには、マネックスグループ本社内のプレスルーム(会議室)を応募作品の発表の場として約1年間提供するほか、50万円の賞金を贈呈、15万円の制作費が支払われます。また、本プログラムによる作品は、マネックスグループの統合報告書などに掲載される予定です。
また、マネックスグループの株主・投資家向け統合報告書の表紙に作品画像が採用されるほか、プレスルームを利用した取材を通して、様々なメディアへの作品の掲載機会を得ることができます。2012年には、プログラムの創造性の高さが評価され、公益財団法人日本デザイン振興会(JDP)が主催する「2012年度グッドデザイン賞」(Gマーク)を受賞しています。

 

・審査員(50音順、敬称略)

岡村 恵子(東京都現代美術館 学芸員)
菊竹 寛(Yutaka Kikutake Gallery代表)
塩見 有子(NPO法人アーツイニシアティヴトウキョウ[AIT/エイト]理事長)
パックン(タレント)
松本 大(マネックスグループ株式会社 代表執行役社長CEO)

 

・選出アーティストについて

<コメントおよび作品コンセプト>
作品タイトル:Liminal space

私は、マンガの手法を使って、言語から解放された物語を経験してもらえるような作品を目指しています。マンガは何によってマンガたりえるのか。セリフや擬音が奪われた表現や物語は、マンガの存在意義を問うことになります。それが私の制作の原動力です。
今回は、扉が閉まった状態で外側から見た会議室の風景と、会議室の中からみた風景とその壁に展開される絵が相互に呼応して、ひとつの風景を生みだすような効果にチャレンジします。「Liminal space」とは、現実空間に生じる奇妙な異界です。見覚えがないのに、確かに来たと感じる場所、「懐かしさ」と「未知」の間に位置する空間、ほんのわずかなその裂け目=ズレを、物語のワンシーンとして鑑賞者に提示します。
会議室はコミュニケーションが活性化するところです。その空間が、行き交う人々をゆるやかに結び、空想と現実をつなぐような「間=あわい」、あるいは、社員のみなさまや来訪者の方々が新しい物語を経験する場となるよう願っています。

<Liisa(りさ)氏 プロフィール>
1999年ハンガリー生まれ(中国国籍)。2001年イタリアに移住し、2018年来日。2023年京都精華大学マンガ学部ストーリーマンガコース修了。2023年より東京藝術大学大学院修士課程デザイン専攻(第8研究室Draw) 在籍。日常にあるものや場所に起因する記憶と、元の文脈から逸脱して生じる違和感やズレをテーマに、マンガの技法を用いて没入感のある表現を模索している。大学では、イラストを活用した空間とその体験についての研究を行っている。これまでの主な展覧会に、個展「祈願」(2022年、松栄堂薫習館、京都)、「ターナーアクリルガッシュ meets 漫画家」(2022年、ターナーギャラリー、東京)などがある。

・審査員のコメント(敬称略 50音順)

岡村 恵子(東京都現代美術館 学芸員)

ART IN THE OFFICEの公募は、応募資格の制約がなく開かれているため、世代や背景の異なる作家さんたちからの応募が多数ありました。その中から1件のみを選出しなくてはならない審査会は、選ぶ側にとっても非常に自由で、かつスリリングな場でした。印象に残った案には、必ずしも作家としてのキャリアや経験の長さに拠らない魅力が少なからずあり、審査自体、実りある貴重な機会となりました。

Liisaさんの案では、ご自身の強みでもあるマンガ的な表現を抑制し、敢えてキャラクターが不在の風景を作りだそうとしており、23歳の方が、そのような空間的な提案をしてきたというのが新鮮でした。作品の動機には、コミュニケーションの問題や生きづらさといった若い世代が感じる現代社会のネガティブな面があるとしても、作品空間に実際に人々が入り、新しい時間を未来に向けて過ごすことで、そこに何かポジティヴなものが生まれ得る可能性を感じました。

菊竹 寛(Yutaka Kikutake Gallery代表)

審査会全体を通じて、多様な作品を見ることができました。いわゆる現代アートのフィールドでは見ることのできなかった方も多く、様々なアーティストがどのようなことを考えているかを知ることができる、貴重な機会でした。

Liisaさんのような漫画の手法で活動するアーティストを選ぶことは、個人的にも、ART IN THE OFFICEにとっても挑戦的な部分があったかと思います。彼女がこのスペースをどのように展開するのか楽しみです。彼女の作品は、プライベートな風景を大事にしているように感じます。自身が見ているものからはじまり、それがグローバルな世界へと繋がっていきつつ、最終的には個人の心象が伝わってくるようです。マネックスで見られる今回の新作でも、そうしたものがダイナミックに出てくることを期待しています。

塩見 有子(NPO法人アーツイニシアティヴトウキョウ[AIT/エイト]理事長)

今回の審査会は、これまでのART IN THE OFFICEの中でも1、2を争う応募者数からの選出になりました。そのためか、応募者も個人ではなくグループであったり、絵画や写真だけではない様々な素材を扱う作家などの作風に広がりがあり、さらには、過去の作品をもとにさらにAIOでそれを展開させたいという意欲的な作品まで登場し、審査は難航しました。選出されたLiisaさんは、漫画やイラストを学びながら、漫画の制作技法の一つである「スクリーントーン」を空間全体に使った大胆な作風が印象的な提案でした。また、漫画で必要不可欠な言葉に疑問を抱き、言葉を超えた別の感覚に人々を招き入れようとする挑戦は、言葉でコミュニケーションする会議室でどのような化学反応を引き起こすか、今から楽しみです。

パックン(タレント)

人生で初めて芸術作品を審査する立場に立ちました。プロに囲まれて、発言するのは恐縮しましたが、私の見る目が確かだったようです。なんと、プレゼン力があったのかは分かりませんが、私が一番最初に二重丸をつけた作品が受賞しました!この作品が選ばれて非常に嬉しいです。作品には、受賞者本人の個人的な物語が表現されていますが、純粋に絵そのものが可愛く、面白かった。また、オフィスを訪れた人が、作品が展示されている会議室の外から見た時に、近くから見てみたい、中に入って見てみたいと感じる作品であると思いました。後から知りましたが、受賞者はマネックスと同じ年に生まれたそうで。マネックスと同い年のアーティストを応援するのは、素晴らしい事ではないですか。この先もマネックスと一緒にLiisaさんがどう育っていくのか、楽しみにしています!

松本 大(マネックスグループ株式会社 代表執行役社長CEO)

今回の審査は、とても多様性に富んでいました。応募数も多く、作風も作家の背景も様々でしたが、その中でも非常に多様性に富んだ背景を持つ作家が選ばれたと思っています。

マネックスは今年が満24年で、25年目にあたります。受賞者は1999年生まれの方で、実はマネックスが生まれた年と、同じ年生まれ。もちろん、このことが選出理由ではなく、偶然の結果ですが、マネックスと同じ年の方がdiverseな世界を生きて来られて、今このタイミングでスケール感のある制作を行う、ということに、何かセレンディピティのようなものを感じる。マネックスのオフィスで、ダイナミックで元気な新しい空間を作ってくれたら素晴らしいなと思っています。

審査会の様子(左から時計回りに、菊竹氏、塩見、パックン氏、岡村氏、松本氏)と選出された作品案(中央)

マネックスグループ株式会社について
MONEXとはMONEYのYを一歩進め、一足先の未来における人の活動を表わしています。常に変化し続ける未来に向けて、最先端のIT技術と、グローバルで普遍的な価値観とプロフェッショナリズムを備え、新しい時代におけるお金との付き合い方をデザインすると共に、個人の自己実現を可能にし、その生涯バランスシートを最良化することを目指しています。個人の自己実現において重要な要素である「資産形成」を中核事業としてきた当社ですが、教育、ゲノムプラットフォーム、メタバースを含む、金融領域に限らないさらに広いフィールドへと踏み出し、個人のウェルビーイングの向上を目指します。
https://www.monexgroup.jp/jp/index.html

マネックスグループ株式会社に関するお問い合わせ
マネックスグループ株式会社 コーポレートコミュニケーション室 徳永

Tel: 03-4323-8698

アーティストやプログラムに関するお問い合わせ
特定非営利活動法人アーツイニシアティヴトウキョウ[AIT/ エイト]
E-mail: otoiawase@a-i-t.net

CONSULTING とは?

CONSULTING

AITのネットワークや教育メソッドを用いた独自のプログラム開発や、アート思考を取り入れたスキルアップに役立つワークショップを多数実施しています

EVENTS & WORKSHOPS

RELATED BLOG