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Season's Greetings

本年もAITの活動に、温かいご支援を誠にありがとうございました。

2021年、設立20年の節目として、ウェブサイトのリニューアルほか、約20年にわたり開講してきた「MAD (Making Art Different)」を一新し、オンライン・アート講座「TOTAL ARTS STUDIES Premier(以下、TASプレミア)」を本格始動しました。TASプレミアでは、芸術を「生命を維持するエネルギー」として捉え、世界規模の気候危機や社会課題、福祉や医療などの分野を、芸術の表現や実践を通して多角的に学ぶ場を提供していきます。また、その一つの表明として、2020年10月にロンドンで設立された「ギャラリー気候連合(Gallery Climate Coalition [GCC])」に、日本の団体としては初めて加盟しました。

レジデンスプログラムは、引き続きバッカーズ・ファンデーションより支援を得て、これからの世代を担う国内2名のアーティスト活動を後押ししました。海外文化機関との連携プログラムにおいては、広く私たちが国内外のアーティストをサポートしながら、どのようにして共に学び、議論し、経験することができるのか、近い将来に向けて新たな思考を耕し続けています。

新規のプロジェクトとしては、「三菱商事アート・ゲート・プログラム」のリニューアルに伴いアドバイザーとして参画。「支援のお陰で、卒業制作をやり遂げることができました」と嬉しい知らせが届いた学生への奨学金制度から、ラーニングとメンターシップを通して思考をつなぎ制作や活動を発展させていくアーティストから、私たちも多くの気づきを得ています。

企画協力で関わる「メルセデス・ベンツ アート・スコープ」では、これまでのプログラムと原美術館の17年間の歩みをまとめたカタログを制作しました。ドイツと日本のアーティスト総勢22名が、互いの国に滞在した当時のエピソードや2021年の現状について寄稿してくれました。寄せられた温かい言葉から、改めて企業による若手アーティストの文化・芸術支援の意義と、継続の大切さを実感しています。プログラムは原美術館の閉館に伴い、新しい段階に入ります。

dear Meプロジェクトでは、2021年も企業や財団、また、子どもの支援団体および児童福祉施設との連携を通して、多様な子どもたちとともに表現の場づくりや作品展を行いました。芸術家を招いた科学や生活とアートの思考をつなぐ学びの講座に加え、制作と展覧会のアイディアづくりを子どもたちが行い、そこから実際の展覧会へと発展したワークショップを通じて、個性溢れる子どもたちの表現や視点を見ることができたことは貴重な経験でした。

これからも常識にとらわれない思考の発見と、アートと社会をめぐる対話をあらゆる場に創出していきたいと思います。

健康で安全な年末年始をお過ごしください。

来たる年が皆様にとって豊かなものでありますよう、お祈り申し上げます。

塩見 有子、ロジャー・マクドナルド、堀内 奈穂子、肥田 暁子、大隈 理恵、藤井 理花、東海林 慎太郎

 *2021年12月27日(月)より2022年1月7日(金)まで冬季休業とさせていただきます。