
Rika Fujii(AIT)
ACCJ Green Circle(アドバイザー/フレンズ):左上から江守正多、片岡真実、菊竹寛、小林エリカ、茅野恒秀、野村政之、ケイト・マクギャリー、山本裕子
国際的な環境及びアート分野の専門家とのネットワーク構築からサスティナブルな美術梱包マニュアルの日本語翻訳、カーボン計算機のリニューアルの紹介まで——アートセクターの変革を後押し
気候変動への対応が社会全体で求められるなか、アートの現場でも持続可能な取り組みへの関心が高まっています。
AITが運営するArt Climate Collective Japan アート・クライメイト・コレクティヴ・ジャパン(以下、ACCJ)はこのたび、環境分野とアート分野を横断するネットワーク「Green Circle」の発足、環境に配慮した美術梱包のためのマニュアル日本語訳版を初公開、そしてカーボンフットプリント計算ツールのリニューアル(英語)について発表しました。これらは特にアートに関わる関係者に向けたツールとなりますが、広くさまざまな方々に活用いただけます。
アートセクターの実践者たちが環境課題に向き合うための具体的な選択肢と連携のかたちはますます広がりを見せようとしています。
詳細は、以下をご覧ください。
1. アートと環境をつなぐネットワーク:ACCJ Green Circle(アドバイザー/フレンズ)の発足
ACCJは今回、アートと環境の交差点で知見や実践を共有するネットワーク「Green Circle」を発足しました。Green Circleは、ACCJの活動に共感し、連帯の意思をもつアドバイザーや仲間によって構成されています。特に気候科学にまつわる研究や世界の動向、美術館全体の動きなど、専門的な知識や知見を共有することで、ACCJの活動や今後の展開に多角的な視点をもたらします。
以下の方々に参画していただいています(敬称略/五十音順):
江守 正多 | 東京大学未来ビジョン研究センター 教授 |
片岡 真実 | 森美術館 館長/国立アートリサーチセンター長 |
菊竹 寛 | Yutaka Kikutake Gallery 代表 |
小林 エリカ | 作家/アーティスト |
茅野 恒秀 | 法政大学 社会学部 教授/信州大学 グリーン社会協創機構 特任教授 |
野村 政之 | 信州アーツカウンシル ゼネラルコーディネーター |
ケイト・マクギャリー | Kate MacGarry Gallery 代表 |
山本 裕子 | ANOMALY ディレクター/一般社団法人 日本現代美術商協会(CADAN) 代表理事 |
2. 環境に配慮した美術梱包のための手引き:ギャラリーとアートセクターのための梱包マニュアル 日本語訳版を初公開
昨年8月に公開した「ギャラリーとアートセクターのため脱炭素アクションプラン」に続き、GCC発行の「ギャラリーとアートセクターのための梱包マニュアル」を日本語翻訳しACCJのウェブサイトにて公開しました。このマニュアルは、美術作品の輸送や展示に欠かせない梱包資材の使用が、環境にどのような影響を与えるかを明らかにするとともに、より持続可能な梱包の方法を具体的に紹介しています。
内容は、「環境配慮の10ステップ」や素材選びのガイドライン、代替素材の紹介などで構成されており、ギャラリーや美術館、アーティスト、コレクターなど、多様な関係者が自らできるアクションを見つけるための実践的な資料となっています。
3. カーボンフットプリントの可視化:GCCカーボン計算機がリニューアル
GCCが提供する「GCCカーボン計算機」は、アート関連活動に伴うカーボンフットプリントを把握するためのオンラインツールです。ACCJのウェブサイト上でも紹介しており、2025年4月に更新版がリリースされ、従来に比較して精度の高い計算機ツールになりました。カスタマイズ機能も追加され、より使いやすく、アートセクターの実態に即した形でアップデートされました。
展示や作品輸送、イベント、出張など、アートの現場で生じる様々な排出要因に対応しており、各組織が自らの活動を数値で捉え、次の一手を検討する手助けとなります。

※言語は英語。簡易の計算はどなたでも利用可能です。より詳細に計算したい方は、アカウントの登録およびログインが必要です。

アート・クライメイト・コレクティヴ・ジャパン(ACCJ)について
アートセクターの気候危機への意識向上と理解促進、また、その対策における有用なツールやリソースの発信、協働と支援の場を提供することで、アートセクター全体が地球環境に配慮した活動を構築することを目的としている。https://accj.a-i-t.net/
運営:特定非営利活動法人アーツイニシアティヴトウキョウ[AIT/エイト]
Specialsupporter(特別助成):公益財団法人石橋財団
Supporter(寄付):株式会社ハースト婦人画報社
画像:気候危機とアートのシンポジウム「アートセクターはどのようにアクションを起こせるか」(2024年7月、代官山ヒルサイドプラザホール)より
気候危機とアート とは?
気候危機とアート
アートがもつ表象の力、美術史や言説と気候危機の関係、そして具体的な実践について、AITの活動全体を通じて追求していきます。アート・オンライン講座「崩壊の時代の芸術体験」コースやTASで行っている講座と合わせてご活用ください。