EVENTS & WORKSHOPSBACK

オンデマンド・アート講座 新コース スタート

AITのオンデマンド・アート講座「TOTAL ARTS STUDIES Premier」(以下、TASプレミア)では、堀内奈穂子による 「芸術から眺めるこども、こころ、せかい」コースより、Series.1「多様な人々とのまなびとこころ」を公開しましたので、お知らせします。

近年は「健康」をはかる指針として、ウェルビーイング(Well-being)という言葉が注目されています。単に健康であるというだけでなく、幸福で肉体的、精神的、社会的にも満たされた状態を表しており、WHOが出したレポートによると、ウェルビーイングには、芸術が重要な「処方せん」であり、近年海外ではアート鑑賞チケットを「医療」の一環として薬の代わりに処方する事例もあります。ストレスフルな現代社会の中で、健やかなこころを持ち続けるためのアートの”効用”について、実験教育の歴史や福祉などの観点から多角的に深めます。

シリーズ1で学べるキーワード

  • こどもの表現や考えに魅了されたポール・セザンヌやパブロ・ピカソ
  • 多様な人々との芸術体験
  • アート処方の海外最新事例
  • 精神医療とアート
  • 幼児教育の歴史と芸術:ヨハン・ハインリッヒ・ペスタロッチと「直観教授法」

シリーズ1で紹介する文献例

  • 『エミール、または教育について』ジャン=ジャック・ルソー(著)、今野一雄(訳)1986
  • 『ゲルトルート教育法・シュタンツ便り』J.ペスタロッチー(著)前原寿、石橋哲成(訳)1987

シリーズ1で参照する研究者や芸術家、思想家など

  • 世界保健機関(WHO)が発表した芸術と幸福度に関する報告書「What is the evidence on the role of the arts in improving health and well-being? A scoping review (2019)」
  • イギリスのアート、健康、幸福に関する超党派による2015-2017調査


Series 1. 多様な人々とのまなびとこころ

芸術から眺めるこども、こころ、せかい」コースより

インストラクター:堀内 奈穂子(AITキュレーター / dear Meディレクター)
レクチャー数:6 [ 各20 – 30分 ]
使用言語:日本語
視聴期間:90日間〜
料金:1650円(税込)〜 プランによって異なります

① イントロダクション:芸術・まなび・こころを考える

「芸術・まなび・こころ」の関係性を捉えるため、本シリーズ全体を通して「美術史・芸術表現」「進歩主義教育・実験的教育の歴史」「福祉・メンタルヘルス」の3つを軸に事例や歴史を紹介します。まず第一回目では、dear Meプロジェクトがスタートしたきっかけや理念、その活動を中心に、ポール・セザンヌやパブロ・ピカソなどといったこどもの表現や考えに魅了された芸術家の活動を紹介します。さらに、芸術的な実践を参照しながら行われた教育の歴史、また現代のメンタルヘルスをめぐる課題に迫ります。

② こどもと大人の作品鑑賞とワークショップ  

AITが2016年より実施する、dear Meがこれまでに行ってきた美術館での鑑賞プログラムや、児童福祉施設等で行ったワークショップなどの具体的な事例、参加したこどもや大人、ファシリテーターの生の声を紹介します。それらのリアクションから、あらためてこどもと大人がアートを通して学び合い、育み合う意義について考えます。

③ アート処方と多様な人々とのアートの体験

カナダでは近年、ストレスや不安を緩和する一つの「処方」として芸術鑑賞が取り入れられ、医療関係者と美術館が協働し、芸術作品の没入的な鑑賞体験などを患者に提供しています。特に近年イギリスやカナダで実施されている「文化的処方」や「アート処方」などの実例を紹介しながら、芸術や文化体験が心の健康や幸福度に作用する可能性について考察します。

④ 精神医療とアートを考える

芸術と心の健康を実践していくには、医療や教育分野の専門家との協働やネットワークづくりは欠かせません。dear Meでは近年、こうしたネットワークの確立を目指し、国内外で芸術と精神医療をつなぐ先駆的な取り組みを行う団体や、創造的なアプローチを模索する精神医療施設との協働を行ってきました。ここでは、dear Meが過去に行ったプロジェクトを紹介しながら、多様な人々との芸術体験について考えます。

⑤ 幼児教育の歴史と芸術:ヨハン・ハインリッヒ・ペスタロッチと「直観教授法」

18世紀以降、児童中心主義や直観教授などの実践が生まれる中で、こどもたちの自発的な学びを促す教育法が模索されてきました。そうした学びの視点には芸術とのつながりも見られます。ここでは、孤児院での教育に情熱を傾け日本の教育界にも多大なる影響を与えたスイスの教育家ヨハン・ハインリッヒ・ペスタロッチについて取り上げながら、事物の観察を通した学びの歴史を探ります。

⑥ 幼児教育の歴史と芸術:マリア・モンテッソーリと宇宙教育

実験的な幼児教育の歴史の中には、さまざまな色や形、大きさなどの教具を通してこどもたちの感覚や好奇心を刺激する実践も行われてきました。ここでは、教育の歴史のなかで非常によく知られるイタリアの医学博士マリア・モンテッソーリを紹介しながら、彼女が独自の教育法を確立する上で参照した芸術家の実践や思想について紹介します。