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AIT SLIDE TALK #37 「Here lies at rest (ここに安らかに眠る)」ライター/キュレーター ジュリア・フィダーによるトークと関連映像上映会

8月18日(月)19:00より、フィンランドとオランダを拠点に活動するライター/キュレーターのジュリア・フィダーによるトークと、テーマに関連する映像上映を開催します。フィダーはフィンランド文化財団の助成により、5月から8月下旬まで東京に滞在しています。
この機会にぜひ、お申込みください。

8月18日(月)19:00よりフィンランドとオランダを拠点に活動するライター / キュレーターのジュリア・フィダーによる「グリーフ(Grief / 悲嘆)」をテーマにしたトークイベントを開催します。フィダーはフィンランド文化財団とAITの協働で5月から8月下旬まで東京に滞在しています。
この機会にぜひ、お申込みください。


フィダーは、グリーフ(Grief / 悲嘆*)、儀式、(制度的な)癒し、そして共に生き活動するための集団的な構造といったテーマに焦点を当てて活動しています。近年は特にグリーフをキュレーションの手法として研究を続けています。キュレーターやアーティスト、観客の間に生まれる人間同士の関係性に焦点を当てたインタビューやワークショップを行っており、特に、安全な空間づくりなど参加者の関わり合いの姿勢や方法を重視してきました。日本滞在中は、高野山や福島、広島など全国各地で、慰霊や儀式についてのさまざまなリサーチを行っています。

「Here lies at rest(ここに安らかに眠る)」は、悲しみや弔いを社会の中でどのように共有できるのか、そしてその中で墓地や記念碑が果たす役割を探る、フィダーによるプロジェクトです。

死にまつわる物質的・文化的な存在が公共空間にあることで、悲しみは個人のものにとどまらず、社会全体で向き合うことができる営みになります。そして、悲嘆(グリーフ)のプロセスがゆっくりと時間をかけて続いていくものとして受け止められるようにもなるでしょう。本プロジェクトでは、私たちが「悲しむための時間」をどのくらい費やしているのか、またその時間感覚が資本主義の影響によってどのように変化しているのかについて問いかけます。

*グリーフ:身近な方の死や離別ほか、大切な何かを喪失した時に、その体験から湧き上がる感情を表に出せない状態やさまざまな反応を英語で「グリーフ(Grief)」といい、日本語では主に「悲嘆」と訳されます。

Imprints and Breadcrumbs (2025), group exhibition with Nicolas Daubanes, Marie Farrington and Just Quist. Collaboration between Odapark and SEA Foundation. Photo by Moniek Op den Camp

・イベントの流れについて

初めに、フィダーより自身のプロジェクトを紹介しながら、時間や効率が重視される資本主義の中で、グリーフ(悲嘆)がどのように捉えられているのかをともに考えます。

その後、フィダーの協働者の一人であり、チェコを拠点に活動するウクライナ出身のアーティスト、ポリーナ・ダヴィデンコによる短編の映像作品《After Time》(約10分)を上映します。
本作では、ウクライナの古代石像「バーバ」を通して、戦争の中で移り変わっていく時間や、終わりの見えない不安が描かれており、「悲しみ」「時間」「忘却」について想像させてくれます。

トークや映像作品を通して、私たちがグリーフ(悲嘆)をどのように記憶し、考えているのかを、静かな空間で改めて考え、共有し合います。
身近な方の死や、世界中で起きている悲しいできごとについて、また一人ひとりが抱えるさまざまな悲しみに目を向けるきっかけを探している方、これらをアートの視点から考えてみたい方など、たくさんの方のご参加をお待ちしています。


概 要

日 時 2025年8月18日(月) 19:00 – 21:00 (18:30 開場)
会 場 代官山AITルーム(東京都渋谷区猿楽町30-8 ツインビル代官山 B-403)
定 員 20名(要予約 / 先着順)*下記より、Peatix経由でお申し込みください
言 語 日本語・英語(逐次通訳あり)
参加費 一般500円 *AITハウスメンバー無料
その他 1ドリンク付き(フード持ち込みOK)
逐次通訳 池田哲
協 力 The Finnish Cultural Foundation(フィンランド)


[お申込み前にご一読ください]
*複数人での参加をご希望の場合は参加人数分お申込みください。(チケットは1回最大2名様まで申込み可能)
*お申込み後の変更やキャンセル、ご返金は受け付けておりませんので、予めご了承ください。
*ご参加にあたり、サポートが必要な方は事前にご相談ください。
*AITルームは禁煙です。


ジュリア・フィダー(ライター/キュレーター)

オランダとフィンランドを拠点に活動を行うライター兼キュレーター。悲嘆、儀式、(制度的な)癒し、そして共に生き活動するための集団的な構造といったテーマに焦点を当てて活動している。フィダーはこの研究テーマから協働的な手法と実践的手法について探求しており、近年は「悲嘆」をキュレーションの手法として研究している。その結果、彼女の創作では特に協働における相互性と共有された主体性の重要性を強調している。彼女の悲嘆に関する思考と創作活動はカミーユ・サパラ・バートン、ジュディス・バトラー、ダーシー・ハリス、シンディ・ミルスタインといった思想家や作家、悲しみにくれる人たち、そしてこれまで彼女のプロジェクトに関わってきた悲嘆に苦しむ人々、アーティスト、実践者の物語に大きく影響を受けている。

そのほか、フィダーはチェコ共和国のアーティスト、ミカエラ・ダヴィドヴァと共に国を超えた深い関係性の構築を目指す相互依存的なキュレーション組織、「Text My Sister」を設立した。フィダーはアールト大学にて視覚文化、キュレーション、現代美術の博士課程を卒業し、ヘルシンキ現代美術館(フィンランド)、SEA Foundation(オランダ)、ヘルシンキビエンナーレ2023、MU Hybrid Art House(オランダ)など複数の美術機関に従事した。現在、Flash Art CZ、Metropolis M、De Kunstmeisjes、Tubelightなどにテキストを寄稿している。
Website: https://juliafidder.com/

Picture by Lennart Creutzburg

ポリーナ・ダヴィデンコ(アーティスト)

写真を基軸に、映像・音・テキストといった複数のメディアを横断して活動するビジュアル・アーティスト。作品の主題は「物語」とそのさまざまな形について。なかでも人間と動物の関係や、それにまつわる文化的ステレオタイプに焦点を当て、それらを起点に他の文脈へと展開していくことを特徴としている。それらの要素を視覚的に繊細に結びつけながら、どこか不穏なメッセージを静かに浮かび上がらせる作品を発表。

NPO法人アーツイニシアティヴトウキョウ[AIT/エイト]とは

2001年、現代アートに興味がある誰もが学び、対話し、思考するプラットフォームづくりを目指して、6名のキュレーターとアート・マネジャーが立ち上げた非営利団体です(2002年法人化)。AITは先進的な企業の社会的要望に基づいたアートプログラムにコンサルティングや企画で関わるほか、芸術家や研究者延べ150人以上を派遣・招聘し、知識と経験を共有する国際交流の場を、多数の海外文化機関・財団との協働を通じて創出しています。website