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Season's Greetings from AIT

本年もAITの活動に、温かいご支援を誠にありがとうございました。

AITが2001年より開講してきた「MAD (Making Art Different)」から20年を経て、2022年、オンデマンド・アート講座「TOTAL ARTS STUDIES Premier(TASプレミア)」の全コースが公開されました。 「トータル」=総合的に、そして工芸や音楽・舞台などあらゆる表現も一緒に考える複数形の「アーツ」にすることで、さまざまな規模の表現や実践を通して包括的な視点で私たちの社会を考えます。

今年、AIT初のセルフパブリッシングとして『DEEP LOOKINGー想像力を蘇らせる深い観察のガイド』(ロジャー・マクドナルド著)を出版しました。気候変動、戦争、格差が広がる複雑な現代に、改めて「見る」力を取り戻すことが、これからを生き抜く道標となることを願っています。また、AITは「ギャラリー気候連合(Gallery Climate Coalition [GCC])」の一員として、これから有志とともに気候危機と芸術を考える小さなプラットフォームを構想中。個々の小さな力が、大きな意識を変えるための一歩となることを目指します。

レジデンスプログラムは、バッカーズ・ファンデーションより支援を得て、アーティスト2名の活動をサポートしました。これまで関心を寄せながらも深堀りできなかったことを実現させるなど、今後の活躍に期待しています。また、フィンランドから霊的体験をリサーチするために来日したアーティストは、私たちが国を越えて対話し、心を通わせることの温かさを改めて感じさせてくれました。

リニューアルした昨年に続く2年目の「三菱商事アート・ゲート・プログラム」は、スカラシップ(奨学生)、ブレイクスルー、アクティベーションと、それぞれの経験や展望に沿った内容で、メンタリングやラーニングの機会を継続しました。2023年2月には、ブレイクスルーのアーティスト6組による新作展が代官山ヒルサイドフォーラムを会場に行われます。

AITが開始当初から運営協力を行うマネックスグループ主催「ART IN THE OFFICE」は、今年度も気鋭のアーティストの制作を後押しするプログラムとワークショップを実施。また、15周年記念として、これまでの活動を紹介する映像やインタビューシリーズを公開しました。

「メルセデス・ベンツ アート・スコープ」は、新たに多摩美術大学と連携協定を締結し新プログラムがスタートしました。レジデンスアーティストと多摩美術大学の学生との交流を通じ、次世代のアーティストの育成と多様な学びの場を創出していきます。秋には新プログラムの一環として、過去に参加したアーティストの展覧会を六本木にて開催しました。本プログラムのアセットである、多くの素晴らしいアーティストたちとの再連携にも、力を入れていきます。

dear Meでは、今年も資生堂、新生銀行、キリン福祉財団、文化庁の支援や寄付を活用し、KIDSDOORなど子ども支援団体とのコラボレーションを通じて、多様な人々に向けた表現の場づくりを行いました。海外ルーツの小学生との環境をテーマにしたサウンドワークショップ(協力:Roland)や、アトリエ・エーとの協働で、ダウン症や自閉症などの子供やユースとの美術鑑賞と創作を通じて、個性溢れる表現とユニークな視点を知ることができました。新たに、Burberryからの寄付など、活動に賛同する企業からのご支援も増え、より一層の広がりにつなげていきます。

AITはこれからもみなさんと一緒に、アートと社会や地球環境をめぐる、さまざまな対話や思考の場を創出していきたいと思います。

来たる年が皆様にとって健やかで豊かなものになりますよう、一同心よりお祈り申し上げます。

AIT 一同

*2022年12月26日(月)より2023年1月5日(木)まで冬季休業とさせていただきます。

IMAGE: Drawing by Tsuyoshi Inasaka (atelier A) , cocktail series, 2022