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ラウンドテーブル・フォーラム「IN AND OUT OF THE SCENE - アートが息づく場の内と外」

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AITでは、2015年2月にロンドンのカムデン・アーツ・センターよりジーナ・ブエンフェルド氏を東京に招へいし、アーティスト・イン・レジデンスをはじめさまざまな活動を行う7つの美術団体とともに、《アートセンター》の今日における意味と役割を話し合うラウンドテーブル・フォーラム「IN AND OUT OF THE SCENE - アートが息づく場の内と外」を開催しました。

このイベントは英語のみで行われ、約3時間に渡るディスカッションからの抜粋をまとめたタブロイド版PDF(日本語・英語)を記録として公開しています。

タブロイド冊子をみる


(PDF: 2.9MB)


[イントロダクション]

本ラウンドテーブルは、2014年9月にAITのレジデンス・プログラムを通じて、カムデン・アーツ・センターのエキシビション・オーガナイザー、ジーナ・ブエンフェルドを東京に招へいしたことをきっかけに開催されました。現在、多くの美術機関がハイブリッド化、そしてネットワーク化に重点を置くなか、中心を意味する「アートセンター」という用語そのものが、さまざまな意味で時代遅れに響くようにも思われます。アートの「脱中心化」に関する議論も活発に行われています。しかし、一方で、アートは常に、人が集う場所や特定のテーマ、コミュニティの中心において実践されてきたとも考えられないでしょうか。例えば、歴史的にみると1960年代の東京では、前衛芸術運動の重要なハブとしてのアートセンターが存在し、特に勅使河原宏により1958年に設立された草月アートセンターが、その役割を担っていました。その後、1980年代にはこのようなアートセンターは消散し、地理的にも分散してしまいました。今では、世界の多くの芸術都市と同様に、東京のアートシーンは非常に断片化してしまっていると考えられます。

本ラウンドテーブルにおいて、AITは相互に関連する3つの問いを提起しました。1) 私たちは今日、アートやアーティストとどのような関わりを持って活動をしているのか? 2)広義のパブリックやコミュニティとどのように協働しているのか? 3)アートセンターを「考える機械」(カムデン・アーツ・センターディレクター、ジェニー・ロマックスの言葉を引用)と考えることは可能なのか? 当日は、まず、ブエンフェルドが、カムデン・アーツ・センターの歴史的経緯と、現在における活動の概要を紹介し、その後、AIT を含む東京を拠点とする7つの自律した美術機関が議論に加わり、これまでの経験や今後の考えを共有しました。そのなかで、アーティスト・イン・レジデンスや批評的なリサーチ・ワークショップ、アーカイブの構築、アートスクール、アーティストのためのスペースなど、幅広いモデルが紹介されました。

1960年代のアートセンター全盛期を振り返ると、アートセンターの活動は、民主化や都市化、市民参加という国内政治にも組み込まれていました。この時期、イギリスでは、ジョン・バージャーの「Ways of Seeing」(1972年、BBC)という急進的なテレビ番組が放映されていました。この番組は、さまざまな意味において、アートが対話のプロセスや相互主観性、関係性として捉えられていく転換を予知していました。
アートセンターは、グローバル化する資本や情報という現代の文脈のなかでどのように捉えることができるのでしょうか。おそらく、「センター」とは、物理的な空間としてのみではなく、「中心化する」活動、つまり、静止点、時間的な集中点であるということをも指し示しているのではないでしょうか。
- ロジャー・マクドナルド (AIT)

【概要】
In and out of the scene: アートが息づく場の内と外:
「アートセンター」の意味と役割を考えるラウンドテーブル・フォーラム
日時:2015年2月25日(水)18:00 - 21:00
場所:AITルーム代官山(東京都渋谷区猿楽町30-8 ツインビル代官山B403)
主催:NPO法人アーツイニシアティヴトウキョウ [ AIT/ エイト]
助成:平成26年度 文化庁 文化芸術の海外発信拠点形成事業



【参加者】(順不同・敬称略)

Roundtable Roundtable Roundtable

朝重 龍太
アーカスプロジェクト

嘉藤 笑子
アート・オウトノミー・
ネットワーク/ AAN

小川 希
アートセンター・オンゴーイング

Roundtable Roundtable Roundtable

ジーナ・ブエンフェルド
カムデン・アーツ・
センター / CAC

太田 エマ
ディスロケイト

庄子 渉
パラダイスエア

Roundtable Roundtable Roundtable

塩見 有子
エイト / AIT

堀内 奈穂子
エイト / AIT

ロジャー・マクドナルド
エイト / AIT




【参加団体紹介】
アーカスプロジェクト
茨城県を主催に1994年に開始され、国際的に活動するアーティストが滞在制作を行うアーティスト・イン・レジデンスプログラムと、地域の方々が主体となって関われる場づくりやワークショップ等のプログラムを展開しています。レジデンスプログラムは、公募によって世界中からアーティストを招聘し、アートを通じて国籍や世代を超えた様々な交流の機会を提供しています。サロンにはアーティストやキュレーター、地域の方々が集い、アートを通じて地域の方々が創造力と主体性を発揮できる環境を創出し、多様性のある魅力ある地域づくりを目指しています。
www.arcus-project.com


アートセンター・オンゴーイング
Art Center Ongoingは、いまの時代を担う必見アーティストを紹介するギャラリースペース、新旧アートブックの閲覧も可能な交流の場としてのカフェ&バースペース、そして独自のネットワークにより編纂した広範なアーティスト情報を提供するライブラリーブースを併設する芸術複合施設です。シンポジウムやライブ等のイベントも積極的に行い、現在進行形の表現の可能性を探っていきます。いま、アートに何が起きているのか?新しいつながりから表現の未来を開拓していきます。
www.ongoing.jp


ディスロケイト
ディスロケイトは、パブリックを考え直すリサーチ、ディベート、アクションのためのプラットフォームを創出しています。パブリックスペースは、複雑な社会の象徴とも言えます。行政任せではない、市民一人一人が作っていくスペースとして、どのように個人がその空間を変えられるか、構築できるかということを検討しています。その中で社会の周辺に押しやられた人々の重要な役割に焦点を当て、その存在をより可視化しようとしています。このようにディスロケイトは様々な社会問題について議論を巻き起こし、親しみ慣れた環境の表層では見えない、様々なレベルで存在する複雑さを指摘します。海外のアーティスト・専門家を呼ぶことで、地域の目に見えないレイヤーを発見し、自然に受け入れてきたことを見直し、新しい視点を取り入れるきっかけをもたらします。
www.dis-locate.net


パラダイスエア
千葉県・松戸駅前のパチンコ店「楽園」の上層階にあるアーティスト・イン・レジデンス施設。松戸駅周辺の町会や自治会で組織するエリアマネジメント団体、松戸まちづくり会議がパチンコ店「楽園」の協力を得て、元ホテルだった遊休空間を活用し運営しています。かつて宿場町として栄えた松戸駅前は、江戸と水戸をつなぐ中継点として多くの旅人が行き交いました。地元住民の邸宅には、過去に訪れた文人や画人が、宿代の代わりに残した作品が今も残るといいます。PARADISE AIRはこうした松戸宿の歴史や伝統を踏まえ「一宿一芸」をコンセプトに掲げ、様々なアーティストや芸術文化の新しい中継点となることを目指します。
paradiseair.info


アート・オウトノミー・ネットワーク[AAN]
2005年に設立されたAANは、国内外のオルタナティヴ・アート組織やアートプロジェクトの情報収集とアーカイヴを基盤としたネットワーク活動を行なっています。国際的で自律的な芸術活動を支援していくためのプラットフォームを提供し、これまで芸術団体・個人を支援していくための展覧会、ワークショップやシンポジウムなどのプログラムに力を入れています。ディレクターの嘉藤氏は、2015年に日本橋に開館したNICA: Nihonbashi Institute of Contemporary Arts の企画委員として関与しています。本施設が、世界水準の実験的なラボラトリーとして、東京中心地からクリエイティビティーを発信していければと思います。
a-a-n.org


カムデン・アーツ・センター[CAC]
カムデン・アーツ・センターは、イギリスのロンドンに拠点を置く、国際的な展覧会および教育の場を創出している歴史あるアートセンターです。CACでは、アーティストが中核となるプログラムを特長とし、市民が同時代のアーティストの考えやプロセスに触れたり、刺激を得られる機会を作っています。また、ギャラリースペースに加え、近隣の学校が無料で使用できるスタジオスペースでは、経験や能力を問わず、あらゆる世代の人々が、陶芸、絵画、ドローイング、ライティングなどの技術を学べるプログラムを提供しています。
www.camdenartscentre.org


NPO法人アーツイニシアティヴトウキョウ[ エイト/ AIT]
AITは、2003年より、海外のアーティストやキュレーターを東京に招へいするアーティスト・イン・レジデンスプログラム(AIR)を実施してきました。国内外の美術機関との連携を通して、これまでに70名以上のアーティストやキュレーター、編集者が東京に滞在し、人や情報、建築、モノが密集する都市ならではの特長を活かし、ネットワーク構築やリサーチを行っています。また、AITが行っている教育プログラムMAD(= Making Art Different)との関わりを通してレクチャーや実験的なワークショップを行うことで、さまざまな視点や考えを持つMAD受講生、美術関係者と意見交換ができるのも、AITのAIRの特長の一つです。


Roundtable
登壇者集合写真
[後列左より] 塩見有子(AIT)、小川希(アートセンター・オンゴーイング)、太田エマ(ディスロケイト)、ロジャー・マクドナルド(AIT)、
朝重龍太(アーカスプロジェクト)
[前列左より] 堀内奈穂子(AIT)、嘉藤笑子(アート・オウトノミー・ネットワーク/ AAN)、ジーナ・ブエンフェルド
(カムデン・アーツ・センター)、庄子渉(パラダイスエア)
Photo by Yukiko Koshima





[記録冊子について]
冊子発行日:2015年3月31日
発行:NPO法人アーツイニシアティヴトウキョウ[AIT/ エイト]
編集:[英文] ベン・デイビス、ロジャー・マクドナルド/[和文] 堀内奈穂子、依田理花
翻訳:Hanare × Social Kitchen Translation
写真:越間有紀子
デザイン:岡田味佳(Fruitmachine)

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2015-8-20

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